2020年12月4日
株式会社ispace(本社:東京都港区、代表:袴田武史、以下ispace)とその子会社であるispace Europe S.A.(所在地:ルクセンブルク大公国(以下、ルクセンブルク)、以下ispace Europe)は、アメリカ航空宇宙局(the National Aeronautics and Space Administration、以下NASA)による、月面で採取した月のレゴリス(砂)の販売に関する商取引プログラムに採択されたことをお知らせいたします。
今回ispaceは、月資源に関するNASAの2つの商取引プログラムに採択されました。1つ目のプログラムでは、ispaceが、2022年[1]に月面着陸をめざすMission 1で開発するランダー(月着陸船)を使用して、月のレゴリスを採取することが予定されています。2つ目のプログラムでは、ispace Europeと連携し、2023年[1]に月面探査をめざすMission 2で使用するローバー(月面探査車)を使用して、レゴリスを採取することが予定されています。Mission 1とMission 2は、HAKUTO-Rプログラムとして実行します。
今回の取り組みは、世界初の月資源の採取に関する商取引であり、国際的な宇宙資源の商取引の最初の一歩になると考えています。これによって、日本とルクセンブルクが参加し米国が主導する有人宇宙探査アルテミス計画に合意している各国とのパートナーシップが加速することが期待されます。さらに、宇宙資源に対する社会的な関心も高まることで、政府と民間による月探査への投資がさらに活発になり、地球と月のエコシステムを構築するという当社のビジョンの実現に近づくきっかけになると考えています。
宇宙資源の商取引については、これを促進するために、様々な立法措置や取り組みが行われており、ispace Europeが拠点を置いているルクセンブルクでは、2017年に宇宙資源の探査と利用に関する法律が施行され、私企業によるレゴリスの採取及びレゴリスの所有権の譲渡が認められています。日本では、商業的な月面探査は人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律の下で内閣府の許可に基づき行われることになります。また、宇宙資源法案に関する議論が政府与党内で進んでおり、2020年11月には、月や火星などで採取した宇宙資源の所有権を民間事業者に認める宇宙資源法案が関係各党で了承され、議員立法として国会への提出が目指されています。今回のNASAによる月資源の商取引プログラムへの採択によって、日本の宇宙資源政策がさらに進展することを期待しています。
■株式会社ispace Founder & CEO 袴田武史のコメント
NASAの商取引プログラムに採択されたことは大変嬉しいですし、このプログラム自体が人類にとって歴史的な瞬間だと考えています。ispaceはグローバルに事業を展開しており、今回日本とルクセンブルクが連携して、NASAのプログラムに採択されたことは、今後宇宙開発が一つの国だけではなく、他国と連携して実現してくことを体現しているのではないかと感じます。宇宙産業だけでなく、地球上のすべての産業にとっても大きな転換点となり、地球経済の発展に貢献する月面経済の始まりになると考えています。
■ ispace, inc. (https://ispace-inc.com/)
「Expand our planet. Expand our future. 〜人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ〜」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。2020年8月までに累計135.5億円の資金調達を実施。日本初民間開発の月着陸船による「月面着陸」と「月面探査」の2つのミッションを行うプログラム「HAKUTO-R」を発表。アメリカSpaceX社のFalcon 9ロケットで2022[1]年と2023[1]年に打ち上げ予定。
■HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/hakuto-r/)
HAKUTO-Rは、ispaceが2023年までに行う予定の民間月面探査プログラムです。独自のランダーとローバーを開発して、2022[1]年に月面着陸と2023[1]年に月面探査の2回のミッションを行う予定です。
[1] 2020年12月時点での想定