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ispace、ミッション1の打ち上げ予定日を発表

2022年11月17日

2022年11月28日にケープカナベラル宇宙軍基地からFalcon9ロケットで打ち上げ予定

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の打ち上げ予定日時を、2022年11月28日に設定したことをお知らせいたします。フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地からSpaceX社のFalcon9ロケットで打ち上げられる予定です。また、同日、中央区日本橋で行われた記者会見において、打ち上げ予定日に加え、10段階のミッション1マイルストーン、第7のペイロード及びHAKUTO-Rカウントダウンクロックを公開いたしました。

打ち上げ予定日時:2022年11月28日(月)17時46分(日本時間)
         2022年11月28日(月)3時46分(米国東部時間)
打ち上げ場所:  米国フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地 40射点
※上記の日時は、天候等の状況に応じて変更される可能性があります。

「HAKUTO-R」は、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。2022年11月28日打ち上げ予定のミッション 1(月面着陸ミッション)と2024年打ち上げ予定のミッション 2(月面着陸及び月面探査ミッション)を総称したプログラム名です。

■ 民間企業としてのispaceが目指すミッションの考え方と10段階のマイルストーン
ispaceは、2025年までに3回の月面着陸ミッションを行い、ランダー(月着陸船)及びローバー(月面探査車)の設計及び技術の検証と、月面輸送サービス・月面データサービスの提供という事業モデルの検証を行い、その信頼度と成熟度を商業化に足る水準にまで高めることを計画しています。宇宙開発における本格的な商業化の時代を見据えると、継続的かつ短いサイクルでの技術及び事業モデルの進化が不可欠です。ミッション1で得られたデータやノウハウの蓄積は、後続するミッション2、ミッション3へとフィードバックされ、ミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスをNASAや顧客に提供し、有人月面探査「アルテミス計画」にも貢献する計画です。

ミッションを短いサイクルで継続的に行うためにも、まずミッション1では、打ち上げから着陸までの間に10段階のマイルストーンを設定しており、それぞれに設けたサクセスクライテリアを達成することを目指します。ミッションの途中では何らかの課題が発生し、全てのマイルストーンを達成できない可能性もありますが、その事象のみを捉えて単なる失敗と評価せず、その時点で発生した課題と、その時点までに得たデータやノウハウなどの成果を正確に把握し、将来のミッションへ繋げていくことが、持続可能な技術進化と事業モデルの進化のために必要です。各マイルストーン達成の進捗状況等は適時に公開を予定しております。ミッション1マイルストーンの詳細は下記の図及び表をご参照下さい。


ispaceのミッション1マイルストーン及びマイルストーン毎のサクセスクライテリア

■ 民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の主な開発進捗
ミッション1で使用するランダーのフライトモデルは、10月下旬にドイツから米国フロリダ州ケープカナベラルに輸送され、11月現在は射場付近の施設内にて、ロケットのフェアリングへの搭載を行っています。ランダーへの燃料充填も開始し、打ち上げの約2日前には打ち上げまでに必要な全ての開発工程を終了する予定です。
また、開発の進捗に伴い着陸地点を北緯47.5度、東経44.4度に位置するMare Frigoris(氷の海)の南東外淵にあるAtlas Craterに変更致しました。この地形は、着陸技術実証ミッションの要件、ミッション1ペイロード顧客であるMBRSCの探査目的や、その他のペイロード顧客のミッションの要求に合致しています。着陸地点は、継続的な太陽光の照射時間や地球からの通信環境、更に形態的、組成的な特徴の多様性から選定されました。バックアップの着陸地点としては、Lacus Somniorum (夢の湖)、更にSinus Iridum(虹の入江)、Oceanus Procellarum(嵐の大洋)等を想定しています。
着陸は現時点で2023年4月末頃を予定しております。

■ 第7のペイロード及びHAKUTO-Rカウントダウンクロックを公開
会見では、ミッション1でランダーに搭載予定のペイロードのうち第7のペイロードを発表致しました。Google Lunar XPRIZEに参戦した唯一の日本チームであった「HAKUTO」への応援歌として、現在の音楽シーンを代表するロックバンド「サカナクション」から2018年に贈られた楽曲「SORATO」の音源を収録したディスク(M-DISC)を、ミッション1で月へ向かうランダーへ搭載致します。サカナクションの山口一郎様からは「当時は実現できなかったのですが、今回4年ぶりにそれが実現できるという話を聞いてびっくりしました。本当にありがとうございます。11月の打ち上げも楽しみにしております。色々なプレッシャーや期待がかかって、苦しい気持ちになる瞬間もあると思いますが、僕らも含め、このプロジェクトを応援していきますので、ぜひ負けずに、立ち向かっていただけたらと思います。」とのコメントを頂戴しました。また、音源に加えてディスクにはGoogle Lunar XPRIZEのために開発した月面探査ローバー「SORATO」の設計データの一部も含まれています。残念ながらGoogle Lunar XPRIZEのレース期間中に「SORATO」が月に到達することは叶いませんでしたが、その意思を継いだHAKUTO-Rにて月へ一緒に到達することが出来たらと考え、搭載することといたしました。

(左)ランダーのフライトモデルに搭載されたMD       (右)サカナクション

打ち上げ日の発表に合わせて、HAKUTO-Rカウントダウンクロックも公開いたしました。カウントダウンクロックは、HAKUTO-Rミッションコントロールセンターにて展示される予定です。カウントダウンの時刻システムは、HAKUTO-Rコーポレートパートナーであるシチズン時計様のタイムサーバーと繋げており、GPS衛星の電波を受信し、正確な時刻を刻むことが可能です。このタイムサーバーは、シチズングループのご協力の下、HAKUTO-Rのミッションコントロールセンター内にも同じモデルが使用されており、打ち上げやミッション中も、正確な時を刻む大事な役割を担っています。

■ 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder袴田 武史のコメント

世界の月面輸送事業を切り拓いてきたispaceは、2025年までに3回のミッションに挑みます。まずは2022年11月、ミッション1を月へ。その成果をフィードバックしながら、ミッション2、3へ。月面着陸技術を、月面輸送とデータサービスを、史上最高水準にまで高め、日本も参画する、NASAの有人月面探査「アルテミス計画」の成功に、物資輸送と情報供給で確実に貢献したいと考えています。また、これからの日本に強い産業をもたらす「スタートアップ育成5ヵ年計画」の先駆けとして、⺠間資本で宇宙を開拓していきたいと思います。地球を宇宙とつなぐことは、世界と社会の課題を解決するまだ見ぬ価値とつなぐことだと考えています。私たちispaceは、月を生活圏に変える基盤づくりから実行していきます。

■ ミッション1マイルストーン詳細

■ HAKUTO-Rミッション1ペイロード

ランダーの上部にはペイロードの搭載が可能で、ミッション1では7個のペイロードを輸送予定です。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーである日本特殊陶業株式会社の固体電池
UAEドバイの政府宇宙機関であるMBRSCの月面探査ローバーRashid
JAXAの変形型月面ロボット
カナダ宇宙庁によるLEAPの一つに採択されたMCSS社のAIのフライトコンピューター
カナダ宇宙庁によるLEAPの一つに採択されたCanadensys社のカメラ
HAKUTOのクラウドファンディング支援者のお名前を刻印したパネル
■ HAKUTOの応援歌であるサカナクションの「SORATO」の楽曲音源を収録したミュージックディスク

■ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在200名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。2022年7月時点で総計約268億円超の資金を調達。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。  
SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年(i)に月面着陸ミッション、2024年(ii)に月面探査ミッションの打ち上げを行う予定です。ミッション1の目的は、ランダーの設計及び技術の検証と、信頼性の高い月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証及び強化です。ミッション1の結果とデータは、継続して行われるミッション2へフィードバックされます。更にミッション3は、より成熟した精度での月面着陸と月への輸送サービスによってNASAが行う「アルテミス計画」に貢献する計画です。ミッション1では、10段階のマイルストーンを設定しそれぞれに設けられたサクセスクライテリアを達成していくことを目指します。各段階において技術検証を行い、継続して行うミッションへ知見を蓄積していきます。
ispace technologies U.S., inc. は、2025年(iii)に月の裏側に着陸予定のNASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員です。ispaceとispace EUROPE S.A. (ispace Europe) は2020年12月に、NASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace EuropeはESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。

■ HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/hakuto-r/)について
HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年(iv)に月面着陸ミッション、そして2024年(v)に月面探査ミッションの打ち上げを行う予定です。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社、Sky株式会社が参加しています。また、HAKUTO-Rメディアパートナーには、株式会社TBSホールディングス、株式会社朝日新聞社、株式会社小学館が参加しています。

(i) 2022年11月時点の想定
(ii) 2022年11月時点の想定
(iii) 2022年11月時点の想定
(iv) 2022年11月時点の想定
(v) 2022年11月時点の想定

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