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ispace、宇宙空間においてランダーに搭載したカメラでの撮影、データ取得に成功

2022年12月14日

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1において、ミッションコントロールセンター(管制室)からランダーの安定した運用を行っており、このたびランダー(月着陸船)に搭載したカメラによる撮影、画像の取得に成功したことをお知らせいたします。


ランダーがロケットから分離した後約19時間後、遠ざかる地球をispaceのカメラが捉えた画像。
三日月のように見える物体は地球。右下はHAKUTO-Rコーポレートパートナー企業(2022年3月時点)のロゴを搭載したプレート。

ランダーは引き続き安定した姿勢で、安定した電源供給を確立しながら航行を進めており、ランダーに搭載したispace自身のカメラが撮影した画像の取得にも成功いたしました。ispaceのカメラはランダーの天面に設置しており、今後もミッション運用中に計画に沿って撮影を行います。
お客様の荷物(ペイロード)を月へ輸送する月面輸送サービスと並んで、月面データサービスはispaceの重要な収益の柱となることが期待されています。ispaceは中期的に多様な月のデータ(画像データ、環境データ、テレメトリ、資源情報など)を収集し加工した上でお客様に提供し、月面開発に役立ててもらうことを計画しておりますが、ispace所有のカメラで撮影したデータが管制室で取得できたことは、将来の月面データサービス確立に向けた記念すべき第一歩と言えます。
また技術的観点からも大きなマイルストーンと捉えており、本画像データの撮影に当たっては、宇宙環境に耐える光学カメラの自社開発に加え、カメラを目標物に向ける姿勢制御や画像データを地球に送信する通信など、多くのランダー自身の技術要素も関わっております。

また、ペイロードのひとつである、カナダ宇宙庁によるLEAPの一つに採択されたCanadensys社のカメラが撮影した画像の取得にも成功いたしました。同社のカメラはランダーの外部側面に搭載されており、今後もミッション運用中に計画に沿って撮影を行います。


ランダーがロケットから分離した後約2分後に、地球と、分離されたロケットをCanadensys社のカメラが捉えた画像

ランダーは2022年12月14日16時(日本時間)時点で地球から約44万kmの地点を航行しており、既に月軌道を一度通り過ぎました。ミッション1で輸送する顧客ペイロードについては現在一つずつ確認作業を行っており、一部については確認作業が完了しています。全て完了次第、Success3の完了として改めてお知らせいたします。

この後実施予定のミッション1マイルストーンのSuccess4にあたる初回軌道制御マヌーバについては、現在運用を進める中で最適なタイミングを最終調整しております。更なるアップデートが有り次第、随時お知らせしてまいります。

■(参考)カメラの搭載位置について

■ 10段階のミッション1マイルストーンについて
ミッション1では、打ち上げから着陸までの間に10段階のマイルストーンを設定しており、それぞれに設けたサクセスクライテリアを達成することを目指します。ミッションの途中で何らかの課題が発生した場合にも、その時点までに得たデータやノウハウなどの成果を正確に把握した上で、2025年までに後続するミッション2、アルテミス計画に貢献するミッション3へとフィードバックし、技術と事業モデルの信頼度及び成熟度を商業化に足る水準にまで高めることを計画しています。各マイルストーン達成の進捗状況等は適時に公開を予定しております。

■ ミッション1マイルストーン詳細

■ HAKUTO-Rミッション1ペイロード

ランダーの上部にはペイロードの搭載が可能で、ミッション1では7個のペイロードを輸送予定です。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーである日本特殊陶業株式会社の固体電池
UAEドバイの政府宇宙機関であるMBRSCの月面探査ローバーRashid
JAXAの変形型月面ロボット
カナダ宇宙庁によるLEAPの一つに採択されたMCSS社のAIのフライトコンピューター
カナダ宇宙庁によるLEAPの一つに採択されたCanadensys社のカメラ
HAKUTOのクラウドファンディング支援者のお名前を刻印したパネル
■ HAKUTOの応援歌であるサカナクションの「SORATO」の楽曲音源を収録したミュージックディスク

■ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在200名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。2022年7月時点で総計約268億円超の資金を調達。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。  
SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年にミッション1、2024年 にミッション2の打ち上げを行う予定です。ミッション1のランダーは、2022年12月11日に打ち上げられました。ミッション1の目的は、ランダーの設計及び技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証及び強化です。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされます。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画です。
ispace technologies U.S., inc. は、2025年 に月の裏側に着陸予定のNASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員です。ispaceとispace EUROPE S.A. (ispace Europe) は2020年12月に、NASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace EuropeはESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。

■ HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/jpn/m1)について
HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年にミッション1(月面着陸ミッション)、そして2024年 にミッション2(月面探査ミッション)の打ち上げを行う予定です。ミッション1のランダーは、2022年12月11日に打ち上げられました。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社、Sky株式会社が参加しています。

(i) 2022年12月時点の想定
(ii) 2022年12月時点の想定
(iii) 2022年12月時点の想定

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