2023年10月20日
日本発の商業的月面輸送サービスの確立に向けたランダーの開発を加速
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、経済産業省が実施する「中小企業イノベーション創出推進事業」において、宇宙分野の「月面ランダーの開発・運用実証」テーマに、予算額(補助上限)120億円の補助対象事業として採択されたことをお知らせいたします。
中小企業イノベーション創出推進事業は、日本のイノベーション創出を促進するためのSBIR(Small Business Innovation Research)制度において、革新的な研究開発を行うスタートアップ等が社会実装に繋げるための大規模技術実証(フェーズ3)を実施し、日本におけるスタートアップ等の有する先端技術の社会実装の促進を図ることを目的としています。今回ispaceは、公募テーマの1つである「月面ランダーの開発・運用実証」に対して提案を行い、採択されました。今回採択された120億円を開発資金の一部として、当社は100kg以上のペイロードを月面輸送するための月面ランダーの開発(設計・製造・組立)と、2027年を目途とする月への打上げおよび運用(軌道制御、着陸誘導制御)を計画しています。
ispaceは、日本、米国、ルクセンブルクという世界3拠点の事業体によるグローバル・プレゼンスを持つ強みを活かし、2024年[i]に打ち上げを予定しているミッション2のランダー(シリーズ1ランダー)の開発を日本の本社主導で、2026年[ii]に打ち上げを予定しているミッション3のランダー(APEX1.0ランダー)の開発を米国の子会社主導で進めております。
本補助金を活用して新たに開発されるランダー(仮称:シリーズ3ランダー)は、シリーズ1ランダーに続く、日本の本社主導で開発されるランダーとなり、米国主導で開発中のAPEX1.0ランダー同様に、本格的な商業的ペイロード輸送サービスの実用化を目指した大型ランダーとなる予定です。当社は、日・米の両拠点での商業的ランダーの開発を進め、グローバルに成長が期待される月ビジネスへの顧客需要に柔軟に対応可能な体制の整備を進める計画です。
経済産業省「中小企業イノベーション創出推進事業」に関する詳細はこちら
公募関連資料・採択結果 | 一般社団法人 低炭素投資促進機構(GIO) (teitanso.or.jp)
採択事業者一覧_テーマA.pdf (teitanso.or.jp)
◾️ 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田 武史 コメント
「経済産業省による『中小企業イノベーション創出推進事業』に採択されたことを大変嬉しく思います。今回の採択は、当社のミッション1での実績および将来の国内外での事業成長の可能性を評価いただけたものと認識しており、日本政府からの力強いご支援の表れに感謝いたします。高頻度な月面輸送機会の提供を世界に先駆けて実用化することで、本年6月に改訂され、「月」についての記述がこれまでの約6倍へと大きく増加し、月面での活動がより具体的に記述された、 日本政府の宇宙基本計画を実現し、月面開発の効率的な進展および新産業の創出において主要な役割を担えるよう全力を尽くして参ります。」
◾️ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、250名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。SpaceXのFalcon 9を使用し、2022年12月11日にミッション1のランダーの打ち上げを完了。2024年[iii]にミッション2の打ち上げを行う予定です。ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階のうちSuccess 8まで成功を収めることができ、Success 9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することが出来ました。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされます。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画です。
[i] 2023年10月時点の想定
[ii] 2023年10月時点の想定
[iii] 2023年10月時点の想定