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ispace、Orbit Fab社と宇宙空間での燃料補給を通じた、 持続可能な月経済圏の構築に向け覚書を締結

2023年12月11日

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、宇宙機への燃料補給システムの開発とサービスを展開する米国のOrbit Fab社との間で、将来的な月探査ミッションに向けた宇宙空間での燃料補給に関して協力する覚書を締結しましたことをお知らせいたします。

今回の覚書の締結により、ispaceとOrbit Fab社はそれぞれの能力を補完し、水や氷、月のレゴリスや月面の鉱物資源等の宇宙資源を利用した、燃料補給の新たな手法を開発することを目指します。また、燃料供給の地球への依存を大幅に削減することを目的とした、月面での資源マッピングやISRU(In-Situ Resource Utilization:現地で入手可能な資源利用)ミッション等、一連の革新的な実証実験に向けて協議を進めるための重要な一歩となります。 さらに両社は、将来的に、宇宙空間を航行するispaceのランダーにOrbit Fab社が燃料を補給し、月やシスルナ空間における長期的な実験や、複数の顧客のペイロードや衛星を輸送のさらなる効率化を達成可能とすることを計画しています。

(左から ispace代表取締役CEO&Founder 袴田、Orbit Fab Founder and CEO ダニエル・フェイバー氏)

持続可能なシスルナ経済を促進するため、全人類のための月資源の新たな管理方法を実証することは両社共通の目標です。既にOrbit Fab社は燃料補給ポート「Rapidly Attachable Fluid Transfer Interface(RAFTI)」を複数の政府系機関や民間の宇宙機に搭載しており、将来的に、衛星や月着陸船等の宇宙機の燃料が不足した際に、安全かつ確実に燃料を補給できることを目指します。Orbit Fab社の燃料補給ポートにより、衛星やミッション運用者は燃料の制約が大幅に削減されるため、より小型でより早く、コスト効率良く収益を生む軌道に到達可能な衛星を打ち上げることが可能になります。

ispaceは現在、日本、米国、ルクセンブルクという世界3拠点の事業体によるグローバル・プレゼンスを持つ強みを活かし、2024年冬[i]に打ち上げを予定しているミッション2の開発を日本の本社主導で、2026年[ii]に打ち上げを予定しているミッション3の開発を米国の子会社主導で進めております。今後も中長期的な成長に向け、開発を進めて参ります。

■ 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田 武史 コメント
「月面や軌道上において宇宙資源を活用するサプライチェーンを形成していくことは、ispaceのビジョンである “Expand our planet. Expand our future.” を実現するために不可欠であり、その一歩としてOrbit Fab社と協力できることを嬉しく思います。私たちの努力の積み重ねが、長期的な月面開発、そしてシスルナ経済圏の構築に向けた前向きな一歩に繋がると確信しています。 」

■ Orbit Fab Founder and CEO Daniel Faberコメント
「今回のispaceとの覚書の締結は、持続的かつ活気のある月経済の実現に向けて大きく貢献するものです。私たちは宇宙資源を利用して燃料を補給し、衛星やその他の宇宙機を宇宙で何年も再利用できるようにすることで、重要なミッションの運用期間を長期化することに重点を置いています。」

■ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在250名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続く2024年冬にミッション2の打ち上げを、2026年にミッション3、2027年にミッション6の打ち上げを行う予定。ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

■ Orbit Fab, Inc. (https://www.orbitfab.com/) について
Orbit Fab社は、軌道上での燃料補給サービスにより宇宙空間における長期ミッションと宇宙経済を支えています。過去10年間でロケットの再利用が可能になったように、Orbit Fab社は衛星の再利用を可能にしました。米国コロラド州ラファイエットを拠点とし、英国にもオフィスを構える同社は、燃料補給ポート「Rapidly Attachable Fluid Transfer Interface(RAFTI)」を開発。このポートは、地球静止軌道(GEO)や地球低軌道(LEO)でのミッション延長を可能にするため、複数の政府系機関や民間の宇宙機に採用されています。GEOにおける初の政府及び商業用燃料供給契約を締結。2,850万USドルのシリーズA資金調達ラウンドに続き、現在、化学推進剤、電気推進剤、環境にやさしいグリーン推進剤等を供給可能なポート、シャトル、補給所の需要に応える為、技術力と製造能力を拡大しています。

 

[i]   2023年12月時点の想定

[ii]  2023年12月時点の想定

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