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ispace代表取締役 CEO & Founder袴田 武史 2024年 年頭所感 シスルナ経済圏構築を目指して、さらなる挑戦へ

2024年1月1日

新年あけましておめでとうございます。2024年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年の今頃、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1において、ispaceが開発したランダー(月着陸船)が打ち上げ後1カ月にわたり深宇宙を安定して航行したことを確認しました。その後、4月には民間企業として世界で初めて月面着陸を試みるという偉業を成し遂げ、ミッション1マイルストーンのSuccess 1から8の成功により、民間企業による月ミッションの実施が可能であることを実証し、世界中に感動と今後の可能性を提示することができました。この貴重な知見と成果は、今後ispaceが、地球と月の間の空間に構築されるシスルナ経済圏において輸送サービスやデータサービスを提供する事業者として成長するための大きな先行者優位を築いたと考えております。ミッション1は、“Never Quit the Lunar Quest” と、私たちの心の炎を消すどころか、より強くし、後続のミッションへ向けて速やかに再起する原動力となりました。

同じく4月には東京証券取引所グロース市場への上場を果たし、10月には経済産業省が実施する「中小企業イノベーション創出推進事業」において、宇宙分野の「月面ランダーの開発・運用実証」をテーマに、120億円の補助対象事業として採択されるなど、将来の事業成長の基盤を築くことができました。さらには、グローバルでの組織体制の強化を目指し、元米航空宇宙局(NASA)宇宙飛行士のRonald J. Garan Jr.を米国子会社であるispace technologies U.S., inc. (以下ispace U.S.) のCEOに迎え、多様性やインクルーシブな組織文化に関して豊富な経験を有する今村健一をispaceのCPO(Chief People Officer)に迎えるなど、より一層の成長に向けた準備も着々と進めることができました。

これらの発展は、共に歩んできた全ての従業員の貢献と、それを支え続けてくれたご家族の皆様、ispaceのビジョンを信じ続けてくれている株主、HAKUTO-Rパートナー、政府関係者、お客様など多くの皆様のご支援の賜物であると考えております。この場を借りて改めて感謝申し上げます。

さて、2024年は、「HAKUTO-R」ミッション2の打ち上げを冬に予定しており、再起の意味を込めてRESILIENCEと名付けたランダーに、欧州子会社ispace Europeが開発を進めているマイクロローバーを搭載して再び月を目指します。ミッション2ではシスルナ経済圏の構築を推進する上で重要施策となる、資源探査の初期的な取り組みを実施する計画ですのでどうぞご期待ください。

ミッション2と並行し、ispace U.S.ではミッション3に向けてAPEX 1.0ランダーの開発を推進します。NASAの商業月面輸送サービス(CLPS: Commercial Lunar Payload Services)CP-12へのサービス提供に向け、 APEX1.0の開発を進めるispace U.S.が、今後米国の様々な月探査ミッションの戦略的パートナーとして地位を確立していくことを期待しています。

世界各国が月を目指して様々なミッションを計画する中、日本、米国、ルクセンブルクという世界3拠点で事業を展開するispaceには固有の強みがあります。このグローバル・プレゼンスを活かし、多様性に富んだ従業員一同としっかり手を携え、まずは輸送を通して、政府や民間の月ミッションに貢献していきます。本年はミッション2からミッション6に向けて並行して複数の準備を進めるという新たな挑戦の年でもありますが、常識にとらわれず果敢に挑戦を続け、ビジョンである “Expand our planet. Expand our future.”への実現へ向けて精進してまいります。

ispace代表取締役 CEO & Founder袴田 武史

 

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在250名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続く2024年冬[i]にミッション2の打ち上げを、2026年[ii]にミッション3、2027年に[iii]ミッション6の打ち上げを行う予定。ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

[i]   2024年1月時点の想定

[ii]  2024年1月時点の想定

[iii]  2024年1月時点の想定

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