News

ispace Europe、月面での高精度な測位技術導入を目指し Control Data Systems SRL社と覚書を締結

2024年3月1日

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、欧州法人である ispace EUROPE S.A. (以下ispace EU) と、産業用ワイヤレス技術・製品の開発を行うルーマニアの Control Data Systems SRL社 (以下CDS社)との間で、将来の月ミッションにおける戦略的協力関係構築に向けて、ペイロード輸送サービスに関する覚書を締結しましたことをお知らせいたします。

本取り組みは、ispaceの月面輸送サービスと、CDS社の高精度なローカライゼーション機能(位置測位機能)および通信技術を活用し、人類が月面に長期的に居住しインフラを構築することを目的にさらなる月面の探査を促進するものです。

今般、CDS社は欧州宇宙機関(ESA)の支援を受け、超広帯域の無線をベースに、高精度なローカライゼーション機能と通信技術を組み合わせた正確な位置の測位を可能とする宇宙用途に特化した技術を開発しました。

本覚書の締結は、商業的活用に向けた月の科学的な理解に大きく貢献するための第一歩となります。CDS社は、ESAとの契約に基づいて開発された上記技術の月面での実証を予定しており、ispace EUとCDS社は、ispaceによる将来的なミッションを通じたルーマニア初の月面へのペイロード輸送を目指し、協議を重ねていきます。

 

  • ispace EUROPE S.A. CEO Julien-Alexandre Lamamy コメント

「本覚書の締結は、ESAが支援する技術を、当社の商業的な月面輸送サービスを通じて手頃な価格でタイムリーに月面で実証できることを示しており、ispaceが今後、ヨーロッパおよび世界中の顧客に提供できる独自の能力とサービスを実証するものです。CDS社との月面における今後の協力関係の構築を大変楽しみにしております。」

 

  • Control Data Systems SRL社 Founder and CEO Ovidiu Ratiuコメント

「本協力関係により、私たちは月面でのローカリゼーション機能および通信技術の検証が可能となり、顧客の月面探査へのニーズを満たす方法をより理解することができます。私たちはまた、この機会により、台頭しつつある月面経済の構築にいち早く参入することができました。」

 

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3法人で活動し、現在250名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続く2024年冬[i] にミッション2の打ち上げを、2026年[ii] にミッション3、2027年に[iii]ミッション6の打ち上げを行う予定。ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

 

Control Data Systems社(CDS)は、1994年に設立されたルーマニアのクルジュ・ナポカにあるテクノロジー企業。同社は、航空宇宙、石油・ガス、環境モニタリングなどの産業用アプリケーション向けのワイヤレス製品・技術の開発企業であり、2011年にルーマニアがESAに加盟した後は、宇宙領域で、衛星のAIT運用向けの無線アプリケーションや、衛星アプリケーション用の無線通信バスの開発など、複数のESAとの研究プロジェクトを成功させている。

[i] 2024年3月時点の想定

[ii] 2024年3月時点の想定

[iii] 2024年3月時点の想定

PDF
一覧に戻る