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ミッション1で打ち上げ予定の月着陸船、打ち上げ地であるケープカナベラルへの輸送完了

2022年10月31日

最短で11月22日以降の打ち上げに向け、SpaceX社のFalcon9ロケットへの搭載作業を開始

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1で使用するランダー(月着陸船)のフライトモデルが、組立及び最終試験を行っていたドイツから米国に予定通り輸送され、ロケットへの搭載作業を開始していることをお知らせいたします。また、SpaceX社との調整の結果、打ち上げ時期が最短で11月22日以降に変更されましたことをお知らせいたします。

ランダーを専用の輸送コンテナに格納する様子(IABG宇宙試験施設) コンテナを輸送機に積む様子(ミュンヘン空港)

ミッション1で使用するランダーのフライトモデルの組立はドイツのランポルツハウゼンにあるアリアングループの施設で2021年6月から開始し、2022年5月中に予定していた組立作業を完了した後、ドイツのオットブルンにあるIABG宇宙試験施設にて振動試験、熱真空試験等の最終的な環境試験、機能試験を行いました。最終試験完了後、ランダーは専用の輸送用コンテナに格納され、2022年10月下旬にドイツのミュンヘン国際空港から米国フロリダ州ケープカナベラルに輸送されました。現在ランダーはケープカナベラルの施設内にて、最短で11月22日以降に予定されている打ち上げに向けて、ロケットのフェアリングへの搭載を行っている段階です。

10月12日時点で、ミッション1の打ち上げ時期を最短で11月9日~15日と設定しておりましたが、 SpaceX社と慎重に協議を重ねた結果、ケープカナベラルからの打ち上げが可能な日程、及びランダーへの燃料充填のスケジュール等を考慮し、ミッション1に向けた最適な準備を完了すべく、打ち上げ時期を最短で2022年11月22日以降に調整することを決定いたしました。今後、正式な打ち上げ日が確定しましたら、改めてお知らせいたします。

宇宙空間へ打ち上げられた後のランダーの運用は、日本橋のミッションコントロールセンター(管制室)から行います。ランダーの姿勢、温度などの状態をモニタリングし、ランダーへのコマンド(指令)やデータの送信、月までの航行中および月面から、画像や映像データの受信を行う予定です。ドイツにある欧州宇宙機関の欧州宇宙運用センター(European Space Operations Center、以下ESOC)が保有するアンテナネットワークを使用し、日本橋の管制室とESOCをつなぎ、ESOCのアンテナネットワークのうち、Kourou(フランス領ギアナ)、New Norcia(オーストラリア)、Cebreros(スペイン)、Malargüe(アルゼンチン)、Goonhilly(イギリス)の5箇所にあるアンテナを使って、月に向かうランダーと通信を行っていく予定です。

                 「HAKUTO-R」Mission Control Center(管制室)

● 株式会社ispace代表取締役CEO & Founder 袴田 武史のコメント

「2016年から構想を開始し、約5年かけて開発を続けてきたランダーが、ドイツでの組み立てを完了させて打ち上げを行う米国に無事に輸送完了されたことを嬉しく思います。ミッション1の打ち上げ、そして打ち上げ後の運用に向けて日々準備に励んでいる全ての従業員、関係者の皆様に感謝いたします。いよいよ打ち上げが近付いてきましたが、依然として取り組む業務は様々あります。ここで培われた経験や収集されたデータが全て、現在並行して開発を進めているミッション2や3等今後のミッションに活かされていきます。引き続きビジョンの実現に向けて前進を続けてまいります。」

■ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在200名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。2022年7月時点で総計約268億円超の資金を調達。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。ispace technologies U.S., inc. は、2025年[i]に月の裏側に着陸予定のNASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員です。ispaceとispace EUROPE S.A. (ispace Europe) は2020年12月に、NASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace EuropeはESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。

■ HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/hakuto-r/)について

HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年[ii]に月面着陸ミッション、そして2024年[iii]に月面探査ミッションの打ち上げを行う予定です。このプログラムは、月の情報取得と地球―月輸送サービス構築に向けた技術検証を行います。HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社、Sky株式会社が参加しています。また、HAKUTO-Rメディアパートナーには、株式会社TBSホールディングス、株式会社朝日新聞社、株式会社小学館が参加しています。

[i] 2022年10月時点の想定

[ii] 2022年10月時点の想定

[iii] 2022年10月時点の想定

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